5分で分かるオプション取引におけるコールの役割
一見すると難解に思えるオプション取引ですが、実際の取引で選択する手法は原則としてコールとプットの2種類しかないことをご存知でしょうか?
つまり、非常に複雑そうなオプション取引であってもコールとプットの特徴を押さえさえすれば全貌を理解したことになるのです。
中でも前者のコールは、オプション取引において基本中の基本である以上、オプション取引に取り組む際にはまずはじめに押さえておきたいところです。
しかし、コールについて専門的に学ぶ機会なんてそうそうないはずなので、これが何を意味する言葉であり、プットとは何が違うのか良く分からない、なんてことは誰でも起こり得ます。
そこでこのページではオプション取引における基本中の基本であるコールとは何者であり、どんな時に利益が発生するのか、そして着手時にはどんなリスクがあるのかについてオプション取引歴が1年の管理人がまとめてみました。
最後まで目を通せばオプション取引においてコールは何を意味する行為であり、プットとは何が違うのか、そしてどのように活用するのがベストなのか、が良く分かります。
このページの目次
コールってそもそも何?
オプション取引は、あくまでも買う権利と売る権利を売買する取引です。つまり、平たく言えば権利行使価格で買う権利を所有するのか、他人に譲るのかを選択する取引になります。
この中でコールオプションは、将来の一定の時期において、あらかじめ決められた金額で、日経225などの原証券を買う権利を売買する取引を指します。
そして実際に取引を行う際には、買う権利だからといって、常に「買う」という選択を取る必要はありません。
なぜなら、相場が下がるということは往々にして起こりうる上にコールオプションにおいては買いだけではなく、売りの選択も可能だからです。
そのため、コールオプションは上昇した際に安い価格で購入する権利を持つコールの買いと、上昇しなかった際に利用するのが望ましいコールの売り、の2つで構成されていることになります。
2種類のコールオプションの違い
先ほど軽く触れましたようにコールオプションには買い取引と売り取引があります。この買いと売りはどちらが優れているというわけではなく、実際の取引においては両方を効果的に活用することが欠かせません。
そのためにもオプション取引においてコールを効果的に使うためにはコールの買いと売りのそれぞれの中身を知ることが欠かせません。そこでここでは、コールの買いと売りの特徴についてそれぞれご紹介します。
買い
「コールオプションの買い」というと、イメージの中では相場が上昇した際に利益をとれるものというぐらいのものを持っている投資家が多いです。
これは確かにその通りで、取引を行い、権利行使価格を超え、あとは上昇した分がそのまま自分の利益という収益構造になります。つまり、相場が大きく上昇すれば莫大な利益が狙える、利益無限、損失限定型の取引構造になるのです。
利益が無限大、損失が限定的な理由
ちなみに利益が無限になる理由は、安い価格で取引を行う権利を買っているためです。また損失が限定的な理由は、上昇を確認してからその権利を行使できるという特性を持っているからです。
この話を聞いてもいまひとつイメージができないかもしれませんが、オプション取引は現物株式と違い、取引開始の時点で実際に株式を保有することはありません。
このような構造で株式を保有しない以上、相場が下落した際にはその購入する権利を持った原証券を買わないで破棄するという選択肢も可能なのです。
権利の破棄をすれば損失負担は不要
そして権利を破棄すれば、権利自体が消えるので、相場が下落した場合にはその損失額を払う必要はありません。
したがって、コールオプションの買い取引は原証券価格が上昇した時に行えばよく、それ以外の場合は既に支払っているプレミアム分で取引からの離脱をする選択を取れてしまうのです。
その結果として、利益無限型、損失限定型の取引が成り立つという仕組みになっています。
「売り」
「コールオプションの売り」といえば、インターネット上の投資関連のサイトや投資関連の書籍では「損失は無限大、利益は有限型の取引」と書かれていることが見受けられます。
この話を聞くと、コールの売りの課題が見受けられますが、この「損失は無限大、利益は有限型」は滅多に起こりません。
現にこの状況が起こるのは、日経225などの原証券価格が権利行使価格を大きく超え、その時点まで何も対策をせずに取引を行い、満期まで待って権利行使を受ける場合です。
それにそもそもの取引の制度として、経済環境や情勢などを全く考慮しない中での話になりますが、原則として相場の動きは上昇、下落、平たんの3種類しかありません。
したがって、上昇でしか利益をとれないコールオプションの買いに比べると利益の発生チャンスは2倍になりますし、相場の状況を考慮しない上での確率論の話になれば勝率も66%にまで上がります。要するに単純に3回やれば2回は利益が取れます。
つまり、コールオプションの売りは相場の状況を見ながら使えば非常に高確率で利益を狙える「勝てるゲーム」にすらなるのです。この特徴はきちんと押さえておくことをおすすめします。
プットとは何が違うのか?
このページの冒頭でご紹介しましたようにオプション取引にはコールオプションだけではなくてプットオプションがあります。
そしてこのコールオプションとプットオプションは常に密接な関係にある以上、実際の取引では組み合わせて使うケースが多いです。
そのため、コールオプションを効果的に利用するにはプットプションの効果的な活用が必須になります。そこでここからはプットについても一緒に考えていきます。
プットとは何か?
このプットオプションというのはコールオプションとは違い、売る権利を売買することになります。
ちなみに売る権利というのは、持っていないものを売却し、そして反対売買に取り組むことを指します。そしてこれを行うことで、原証券を現在保有している人からこれから保有する人につなぐことになるのです。
この構造を考えると、プットオプションの鍵は高い金額で売却する権利を保有し、適切なタイミングでその権利を手放すことになります。
このようにプットプションは安く買い、高く転売することで利益を狙うコールと違い、高く転売するために安く買うことで収益を狙う取引スタンスなのです。
コールとの根本的な相違点
これまで見てきましたようにプットオプションとコールオプションの違いは、単純に買う権利を売買するのか、売る権利を売買するのかの違いがあります。
この相違点を念頭に置いた上での話になりますが、根本的な取引の様態以外にはどんな違いがあるのかについてみていきます。ちなみに今回ご紹介する相違点はこちらの通りです。
- 期待損益の違い
- 投資家との相性の違い
それぞれの詳細についてはこれから見ていきます。
期待損益の違い
売り取引のリスクに関しては、プットオプションはコールと比べると限定がしやすい特徴があります。なぜなら、相場は下落よりも上昇のほうに時間がかかりやすく、対処する時間も長くなるからです。
それに日経225などの代表的な原証券は、価格変動が大きいため(ボラティリティが大きいといいます)、取引中に何度か大きな下げが起こる可能性があります。
そのため比較的リスクを限定しやすい取引という特徴があります。また買い取引に関しては、下落相場のほうが短期間のうちに起こることが多いため、短期間に利益を獲得できる可能性があります。
投資家との相性の違い
下落時の収益が最も大きなチャンスとなるプットオプション取引において、期待できる収益の幅はコールオプションに比べると短期で大きな値幅を狙えます。この理由はシンプルで下落時のほうが短期で値が動くからです。
この点を考えるとプットオプションは短期で稼ぎたい人に向けている取引になります。そしてその一方でコールオプションはプットと比べると短期的に大きく稼ぐのは難しいので、中長期を前提とした取引になる可能性が高いです。
効果的なコールオプションの活用戦略
ここまでオプション取引におけるコールオプションが何であり、プットプションとは何が異なるのかについてご紹介してきました。
しかし、その一方でオプション取引においてどのようにコールオプションを利用するべきなのか、については特に取り上げて来ませんでした。そこでここからはコールオプションの効果的な利用方法についてご紹介します。
買いのスタンスを工夫する
コールオプションで収益を出すためには相場の現状を把握することは欠かせません。
特に
- 大きな変動を狙っていて、本当に狙えるのか
- それともどう動くがわからない状況なのか
のどちらであるかのかの把握は欠かせません。
ちなみに1のケースでは最も権利行使価格が低く、かつ限月が先のものにコールの買いを設定するのが一番。事実上これ以上の買いでの利益が大きくなる戦略はないといってもよいでしょう。
大きく上昇する際は、この戦略しかありません。しかし、相場はそんなに思ったように動きませんので相場を見ながらの判断は欠かせません。
レシオ・コールスプレッドの活用
次に相場が予想通りの変動を見られなかったり、ちょっと上がったという状態で取引に取り組む際のコツをご紹介します。
こういったケースは一般的には対処がしにくいですが、有効な対処として、レシオ・コールスプレッド取引があります。このレシオ・コールスプレッド取引の実施手順は、下記の通りです。
- 権利行使価格の違う買いと売りを組み合わせる
- まずは権利行使価格の低いものは買う
- 次に権利行使価格の高いものは売る
- これ以上の上昇はない金額を指定する
このようなスタンスのレシオ・コールスプレッドを実施し、権利行使価格が違う買いと売りを合わせることで一定幅の利益を確保しに行きます。これを行えばリスクを下げながら現実的な利益を稼ぐことができます。
売りも適宜絡める
ここまでは上がり相場を前提にお話ししましたが、当然オプション取引の世界では上がり相場が続くことはありません。つまり、相場が下がることを念頭に置いた上での戦略の立案も欠かせないのです。
そして相場の下落を予測した際に重要なことは、下落=プットオプションの使用としないことです。
もちろん相場の下落の確立が高い際はプットオプションを選択するのは悪くありませんが、実際にプットの売りを選択し、予想通り下落してしまうと損失になります。
したがって、相場が下落する可能性が高く、変動幅も望めないときはコールの売りを設定するのが一番。
現にコールの売りであれば、実際の下落にも安全に対処できます。それに変動幅がなくとも、プレミアム分を受け取ることが可能です。
鍵はプットとの組み合わせ
これまで解説してきたように、実際に取引において、コールオプションは欠かすことのできない取引ではありますが、コールオプションだけで戦略をとろうとすると、非常に選択肢が少なく、また不測の事態に対処することがほとんどできません。
そのため取引を成功させるためには、プットオプションとの併用が重要になってきます。
この二つのオプションを組み合わせることで、戦略は単純に25種類以上存在するようになります。もちろん複数の戦略を利用するにはある程度の資金に余裕を持たせる必要がある以上、ある程度の資金の用意は欠かせません。
この点を考えると、オプション取引で成果を出すためには一定の資金とプットプションとコールオプションの組み合わせで戦略を作る、というスタンスは必須になるのです。
これにてコールオプションについて特集したこのページの内容は終わりになりますが、最後にこのページに目を通された方に人気があるページをいくつか取り上げて、このページを終えようと思います。