「売りを制する者はオプション取引を制す」
様々な投資商品の中でも難易度の高さが際立つオプション取引。
そしてその中でも特に判断が難しいのが、売り取引との関わり方です。
おそらく今このページをお読みのあなたも売りとどう関われば良いか、そしてそもそもオプション取引で「売りを利用するメリットって何なのか?」といったことに頭を悩ませているかもしれません。
そんなオプション取引に取り組む際にネックになる「売り取引」の効果的な活用術や利用時に許容しなくてはいけないリスクについてまとめているのがこのページです。
現にこのページを最後まで目を通せば、オプション取引で重要な売りが何者であり、売りを活用する際に何に気を配れば良いのかが良く分かります。
本文の内容についてはこちらの見出しの順番でご紹介しますので、ご興味がある箇所だけでも目を通してみてくださいね。
このページの目次
そもそも売り取引って何?
今回はオプション取引における「売り」についてご紹介しますが、そもそも「売りって何?」という疑問をお抱えかもしれません。
そこでオプション取引の「売り」が何かをご理解頂くためにも投資の世界における「売り」とは何なのか、について考えてみます。
基本は空売り
この売り取引というのは先物取引やFXなどの金融商品にみられるものですが、空売りという名前で世間一般に浸透しています。
そしてこの「空売り」という行為を端的に表すのであれば、保有していない金融商品を買いたい人に買わせる行為です。
大抵の投資は「安く仕入れて、高く売る」である以上、この「売り」に対して違和感を持つ人はいるかもしれませんが株でもFXでも「売り」を使うのは割と一般的。
買いとは逆の立場を取ることになる
そして売りを行う売り手は買い手とポジションと費用対効果が反対になります。
そもそもの話、買いオプションというのは自分が予想した方向に価格が変動することを予想して相場に向き合うものです。
つまりそれとは逆の立場を取る売りオプションというのは、それぞれの予測が外れた際にプレミアムを受け取ることが可能な取引になります。
オプション取引における2つのウリ
今回取り上げるオプション取引における「売り」にはコールの売りとプットの売りの2種類があります。
それぞれの詳細については「コールの売り」⇒「ブットの売り」という順番でご紹介しますので、1つずつ見ていきましょう。
コールの売り
コールの売りが何なのかを掴むためにもコールオプションが何なのかを知る必要があります。
このコールオプションというのは原証券価格が上昇した際に収益が上がる権利を売買です。
したがってコールオプションの売りというのは上昇した際に収益が出る権利が収益化できない状態になります。
つまり原証券価格が下がるor値動きがない状態の時に収益が出るのです。
この構造を考えるとコールオプションの売りというのは、
上がりそうではない相場の時に保有することが重要になります。
ブットの売り
そしてもう1つのオプション取引の売りは、プットオプションの売りです。
このブットオプションというのは原証券価格が下落した際に保有はしていないのですが、権利行使価格にて売却権を入手する取引です。
そしてブットオプションにもコールオプションと同様に買いと売りがあり、買いの場合は原証券価格が下落した際に収益が上がる買い方になります。
逆にブットの売りは原証券価格の上昇と停滞を予測した上で仕掛けていくことになります。
つまり、ブットオプションの売りの世界では相場の下落以外の場合にも対応できるので、プットオプションの売りの際は相場が下落しそうにない時に保有するのが重要になります。
買いとの根本的なリスクの違い
次にオプション取引における売りのリスクについて考えてみます。
実はオプション取引における売り取引というのは、買い取引とは全く違ったリスクを背負うことになります。しかし、この説明では何が違うのかわからないですよね。
そこでオプション取引における「売り」のリスクの実態を正確に理解するためにもまずは「買い」のリスクについて考えてみます。
買いのリスクとは?
実はオプション取引において買い取引を行う投資家が背負うリスクというのは、取引の初めに預託した中から引かれる、プレイ分のみになります。
そしてそれ以外には基本的にリスクは発生しません。
その理由は買い取引に取り組む側は銘柄を買う権利を有するものの、あくまでそれは権利であり、買わなければいけない義務ではないからです。
義務ではない以上、放棄が可能です。つまり、権利行使さえしなければそのリスク以上のものはありません。
その一方で収益に関しては価格が買い手の有利な方に動けばそれが利益になり、反対に動いたりすればそのプレミアム分が損失になるだけ。
このように買いはリスクが小さく、利益部分があればそれを獲得することができるという仕組みになっている以上、取引が非常にしやすいのです。
売りのリスク
反対に売り取引の場合は金融商品の特性として反対の取引を行っている人=買い手のリスク部分が利益になります。
つまり、買い手が負うリスクというのはプレミアムであるオプション取引の売り手にはその部分がそのまま収益となるのです。
その一方でリスクに関しては、買い手と同様の仕組みで相手の収益部分=こちらのリスク部分になります。
しかも買い手のケースと違い、売り手は売りを行使する「義務」がある以上、損失分は必ず背負う必要がります。
つまり、買い手に有利な相場に働いてしまうと、どんどんリスク部分が増えていくことになるのです。
しかもリスクを減らすために反対売買を行う際は、次にそのポジションを保有する人にプレミアムが引き継がれますので、自分の収益は事実上ゼロになります。
このリスク構造を考えるとオプション取引を行う際は期近にいるものを心がけることで取引リスクの軽減をはかるのが大切になります。
損失リスクはそこまで怖くない
これまでオプション取引における「売り」のリスクについてご紹介しましたが、「売り」の最大損失リスクについては特に取り上げませんでしたよね。
そこでここではオプション取引において「売り」を利用した際には最大でどの程度のリスクを背負うのかについて考えてみます。
証拠金が止まると取引は終了する
実は「売り」には損失を受け入れる義務があるといいましたが、実際には常識を超える範囲の損失が発生することはあまり想定できません。
その理由はオプション取引の世界では証拠金が必要だからです。
現にオプション取引では証拠金取引とレバレッジ取引が採用されている以上、通常の株式売買や投資信託よりも損失のスピードが速いです。
しかしながら、証拠金とは取引を開始、または維持継続をする上で必ず必要になるので、証拠金が不足している状態では原則として取引の継続ができません。
したがって、自分が預託した証拠金+余剰金の合計金額が事実上の最大のリスクになるのです。
想定外の損失も怖くはない
ちなみにどうして「事実上」と表現したかというと、相場の値飛びが起こり、ある価格からある価格へ金額が途中で約定されることなく移動してしまう場合があるからです。
このケースでは証拠金を超える損失が発生するリスクもありますが、その値飛びは取引量が非常に小さい銘柄でしか基本的には起こりえません。
なぜなら、取引量が多い場合はそこまで急激な値動きが発生することは少ないからです。
しかもオプション取引のベンチマーク銘柄となっている日経225やJPX400の場合、値飛びの可能性が非常に低いため、値飛びの発生リスクはそこまで大きくはないです。
そのため、想定外の損失の発生リスクはそこまで考える必要がありません。
限月があるから安全
さらにオプション取引には限月というものがあります。これがオプション取引のリスクを下げる際に非常に役に立ちます。
限月って何?
ちなみにこの限月というのはオプション取引において建てた玉が満期を迎える月のことを指します。
そしてオプション取引で売り取引を行う際は、「限月が短いもの=期近なもの」を保有することが重要になります。その理由は決済までに時間が多く残されている場合、相場が大きく変動してしまう可能性があるからです。
そしてこういった期近なものを意図的に狙えば相場が大きく変動する時間が少ないのでリスク管理に繋がります。
限月も証拠金もある
このように複数のリスク回避の仕組みがある以上、「アシ=預託金以上の損失」が出るケースは基本的には発生しないのです。
つまり、事実上何のリスクヘッジ施策を打たずにリスクを受け入れたとしてもそこまで大きなリスクを背負う必要性はないのです。
なので、オプション取引の売りを行う際のリスクは原則として問題にならない範囲内に収まるのでリスクはそこまで気にしなくて大丈夫なのです。
売りをオプション取引で活用するコツ
これまで見てきたような特徴を持つ売り取引はオプション取引において非常に重要な取引手法になります。
なぜなら売り取引は「買い」を中心にオプション取引と関わるケースでもリスク回避として利用できるからです。それに複数のポジションを併せ持つことで収益を肥大化させることも出来るからです。
しかし、これまでオプション取引で売りを有効活用する方法については特にご紹介してきませんでしたよね。
そこでここからはオプション取引おいて売りポジションを効果的に活用する方法について解説していきます。
複数のポジションを持つ
オプション取引における売り取引で最も単純な方法としてはコールオプションとプットオプションの売りを同時に持つことがあります。
これは一般的にはストラドル手法と呼ばれ、買い手も売り手も取ることができます。
そしてこのストラドル手法を実施する際のコツは、買い手の場合なら権利行使価格が近いコールオプションとプットオプションの買いを保有することです。
そして売り手の場合はできるだけ権利行使価格から離れたオプションを売ることにより、プレミアムの獲得を狙うことになります。
このストラドル手法はオプション取引をする上で必ずといっていいほど必要な戦略になりますので、覚えておくことをお勧めします。
資金管理をする
オプション取引で売りポジションを保有する際の最大のリスクは価格が大きく変動することです。
この時にどうやってリスク回避をするかということが売りポジションを保有する際の最大のテーマになり、その際の有効な対処法の1つに資金に余剰を持たせておくことがあります。
その理由は単純です。
これを行えば価格が変動しても戻ってくる可能性に賭けるということではなく、余剰金をしっかりと持っておくことになるからです。
その結果として価格が大きく変動しようとしている際にもそれに対応して違うポジションを保有することができ、リスク回避と同時に収益化まで狙えます。
このように使い方を意識すれば売り取引はリスク回避を利用しながら高い収益を実現することも可能なのです。
買いと組み合わせるべき
オプション取引における売りの活用術として少し上級なものが買い取引との組み合わせ。
買いとの組み合わせというとプレミアムの打ち消しになってしまうような感覚になるかもしれませんが、基本的には買いよりも売りの枚数を増やすことが必要です。
これはレシオスプレッド取引といいますが、この取引手法では価格が変動しなくとも一定の収益を確保することができるほか、買いの方向に進んでしまった際のリスク回避にも活用ができます。
このような形で売りを活用すれば、オプション取引で収益の幅を広げることができます。
きちんとヘッジさえすれば安全に使える
これまで解説してきたように文面だけ受け取ればオプション取引の売りは無限大のリスクを背負うことになります。
しかしながら売りポジションだけを保有することさえ避ければ、売りを利用しても基本的に無限大のリスクを背負うことはありません。
それに仮に売りだけを利用したとしても、資金管理さえしておけば未然に損失をカバーすることが可能になります。
そのため、売りのリスクはそこまで気にかける必要はないのです。
もちろん、この話をしてもオプション取引の売りのリスクが気になるのでしたら、オプション取引の「売り」と「買い」の両方をサポートしてくれるオプション取引のプロの助言を聞きながら取引に取り組むことをおすすめします。
このオプション取引のプロの詳細についてはこちらのページでまとめておりますので、ぜひご一読ください。