5分で分かる投資顧問業法の概要
投資顧問業法について調べる際にネックになることの1つに色々なルールがあるので何を押さえればよいのかわからなくなることがあげられます。
特にこれまで法律の勉強をあまりしたことがない場合、自分が知りたい分野がどこに書かれているのかを探すだけで大きな苦労をするかもしれません。
現に管理人自身、はじめて投資顧問業法について調べた時は色々な規則があって何を押さえればよいのかわからず右往左往しました。
私の話をさておき、一見すると該当分野が多岐にわたり、よくわかりにくい投資顧問業法ですが、ポイントは7つしかありません。つまりその7つのポイントを押さえることが投資顧問業法の理解の鍵になるのです。
そこでこのページでは投資顧問業法の中心になる7つの主要項目についてご紹介します。ざっとでも目を通せば、投資顧問業法の目的、代表的な法令、そして7つのポイントの中身がよく分かります。
このページの目次
そもそも投資顧問業法とは?
まずはじめにそもそも投資顧問業法とはどんな法律なのかについてご紹介します。
投資顧問業者を規制する共通ルール
投資顧問業法をシンプルに説明しますと、この見出しにあるように投資顧問業者に対して課される共通のルールです。
このような特徴を持つ投資顧問業法のルールの種類は多岐にわたりますが、大きく分けるとこちらの7分野に集約されます。
- 開業時の資格登録
- 業務執行時の原則
- 投資一任業務関連の諸規則
- 内閣府による監督の方針
- 証券投資顧問業協会の運営方針
- 罰則規定
- その他の規則
ここで取り上げた7つの分野の詳細についてはこれから1つずつ見ていきます。
開業時の資格登録規則
まず最初に取り上げる投資問業法の分野は「開業時の資格登録規則」です。
この分野では、投資顧問業者が投資顧問業務を営む際の登録手続きや資格登録時の諸ルールについて記載されております。
この記載項目の中身をご理解頂くために記載項目の中で特に重要な項目を一覧にしてみました。
- 資格登録が必要な時と不要な時の違い
- 投資顧問業者登録をする際の申請手順
- 内閣が業者申請の拒否を行うケース
- 商号や廃業時の登録情報の変更方法
- 営業保証金に関する規定事項
ここで一覧にした開業時の資格登録関連の規則の中で特に押さえておきたいポイントはこちらです。
(投資顧問業法第4条の要約)
この法律にある通り、投資顧問業者は営業活動を行う際には内閣府への登録申請が求められます。
つまり裏を返せば登録をせずに投資顧問業務を行っている投資顧問会社は、投資顧問業法に照らし合わせると全て違法な業者になります。
この資格登録関係の原則は投資顧問業者を選ぶ際にも投資顧問業を開業する際にも必ずチェックが必要になる項目になります。
内閣府令が定めた業務執行規定
2つ目に紹介する投資顧問業法の規定項目は内閣府令によって定められた業務執行時の原則です。
この業務執行時の原則の中で特に押さえておきたい項目についてはこちらで一覧にしてみました。
- 標識掲載時のルール
- 名義貸しの全面禁止
- 広告出稿時の禁止事項
- 契約締結前と締結時の書面の交付ルール
- 契約締結中の顧客への書面の交付ルール
- 書面による契約解除ルール
- 投資顧問業者の全般的な禁止行為
ここで取り上げた7つのポイントの中で特に押さえておきたいのはこちら3点です。
(投資顧問業法第13条の要約)
契約締結時の書類を受け取って10日以内に限り、書面での契約解除を認める
(投資顧問業法第17条の要約)
利益を約束したり、顧客の損失を補填してはいけない
(投資顧問業法第22条の要約)
ここで取り上げた3つの投資顧問業法をまとめるとこのようになります。
①:投資顧問開業者は「確実に儲かる」といった虚偽性のある表現を広告で出してはいけない。
②:顧客に対して利益の保証や損失が出た時の損失の補てんの提案をすることは許されない。
③:契約締結をしてから10日以内であれば書面経由であれば契約解除ができる。
この3つの原則は投資顧問サービスを利用する側にとっても投資顧問開業者にとっても必ずチェックが必要になる項目です。
投資一任業務関連の諸規則
次に取り上げる投資顧問業法の規定項目は「投資一任契約」を提供する際に求められる登録資格関連の諸規則。
ちなみにこの「投資一任契約」は投資助言契約と違い、投資のアドバイスだけではなく投資の代行業務も担当する契約のことを指します。
このような特徴を持つ投資一任契約を提供している投資顧問業者向けに課された改正版の投資顧問業法で触れられている主な項目はこちら。
- 投資一任契約の認可の原則と認可条件
- 内閣に対する認可依頼の申請ルール
- 申請依頼に対する内閣の承諾基準
- 投資一任業務変更時の認可ルール
- 一任業務廃止時の届け出の規約
- 主要株主に求める届け出項目
- 取締役や従業員の兼業規定
- 業務執行業者の全般的な禁止事項
- 報告書の交付ルール
- その他の禁止事項と例外規定
ここで一覧にした改正版の諸法令の中で特に押さえておきたいのはこちらの3点です。
(投資顧問業法第24条の要約)
顧客の利益を害することを前提とした投資判断の禁止
(投資顧問業法第30条の4の要約)
一任業者は顧客に利益を約束してはいけない
(投資顧問業法第30条の要約)
端的にここで取り上げた内容をまとめますとこのようになります。
①:投資顧問業者は投資助言ではなく、投資一任業務を行う際には事前に申請をしなくてはいけない。
②:申請が認められて投資一任業務を担当する際も顧客の利益に繋がらない投資行為は原則として禁止されている。
③:また、投資一任契約をする際に「確実に資産を増やせます」といった利益の約束は認められない。
これらは投資顧問業法で定められた規則である以上、違反行為を行った業者は金融商品取引法の定められた既定の罰則の対象になります。
つまり、ここで取り上げた諸行為を行っている投資顧問は資格登録の有無に関わらず悪徳な投資顧問会社になります。
ちなみに投資一任契約は投資助言契約と比較するとはるかに多くの権限を投資顧問会社が担うことになります。
その結果として投資一任契約を提供する投資顧問業者に課される登録資格は、助言業を専業にしている投資顧問会社に求められる登録資格よりも基準が厳しくなっています。
なお、これまでの内容に目を通して投資助言型の投資顧問会社と投資一任型の投資顧問会社(ファンド)のより詳細な違いが気になりましたらこちらをどうぞ。
内閣府令による監督の方針
次に紹介するのは投資顧問業登録をした各業者に対する監督方針がまとめられた投資顧問業法です。この監督関連の法令の中で特に重要な項目としてはこういったものがあります。
- 業務上の帳簿書類の保存ルール
- 営業報告書の作成と提出
- 立ち入り検査の原則的な方針
- 業務改善措置の実施方針
- 登録の停止や取り消し方針
- 認可の取り消し条件
- 監督処分の告知方法
ここでまとめましたように「内閣府令による監督方針」というのは、利用者保護の規約というよりも投資顧問会社と内閣との間に定められたルールとなります。このルールの中で特に重要になる3つの項目をピックアップしてみました。
(投資顧問業法第35条の要約)
内閣は投資家に不利益を与えている投資顧問業者に改善命令を出せる
(投資顧問業法第37条の要約)
内閣は所定の項目に該当した業者の登録を取り消す権限を有す
(投資顧問法38条の要約)
ここで取り上げた内容を簡単に総括するとこのようになります。
①:投資顧問業者は毎年内閣に対する営業報告書の提出が義務付けられている。
②:内閣は投資家に明らかに不利益を与えている投資顧問業者に対して教育的な指導や業務改善命令を出す権限がある。
③:そして内閣は著しい規約違反を行った投資顧問業者に対しては業務停止処分や登録認可を取り消すことができる。
要するに内閣が定めた監督関連法案というのは、投資顧問業界の健全化を図るための内閣府令なのです。
この内閣府令は投資顧問業者向けのものなので、もしあなたが投資顧問の利用を考えている利用者サイドでしたら特に押さえる必要はありません。
日本投資顧問業協会の運営方針
次にご紹介するのは、投資顧問業界の健全化のために設立された投資顧問業協会の運営方針について触れられた投資顧問業法です。*なお、投資顧問業協会の実態についてもっと詳しく知りたいのでしたらこちらをどうぞ
一瞬話が飛びましたが、今回取り上げる投資顧問業法の分野では、投資顧問業協会の運営方針と協会に加入している投資顧問業者に課されるルールが規定されております。
この投資顧問業者に課されているルールは正直なところ多岐にわたりますので、特に押さえておきたい項目を一覧にしてみました。
- 投資顧問業協会の運営方針
- 協会非加入者の名称使用制限
- 会員企業に対する苦情発生時の対応方針
- 内閣と投資顧問業協会の関係
- 内閣による協会内部の監督権限
ここで一覧にした5つの項目の中で特に注目をしておきたいポイントはこちらの2つです。
(投資顧問業第42条の要約)
協会非加入業者は協会の会員であることを名乗ってはいけない
(投資顧問業法第43条の要約)
この2つのポイントからいえることは、こちらの通りです。
①:協会に加入しているかどうかは協会の名簿を見れば一発で分かる。
②:協会に加入していない会社が「投資顧問業協会加入」と公表するのは違法であること。
この2つの点は投資顧問業者を探す際にも投資顧問業を開業する際にも必ず押さえておく必要があります。
違反業者に対する罰則規定
7つ目の投資顧問業法の適応分野は「違反業者に対する罰則規定」です。こちらは投資顧問業法で定められたルールを違反した場合の罰金額と懲役年数を規定した法令のことを指します。
諸規則を違反した際に課される罰金額と懲役の期間は、違反行為の種類に応じてこのように変わります。
- 3年以下の懲役か300万円以下の罰金
- 2年以下の懲役か300万円以下の罰金
- 1年以下の懲役か300万円以下の罰金
- 1年以下の懲役か300万円以下の罰金
- 6か月以下の懲役か50万円以下の罰金
- 20万円以下の罰金
- 50万円以下の過料
- 30万円以下の過料
- 10万円以下の過料
ここで取り上げた罰則の中でどれに該当するかは行った違反行為次第ですが、悪質なケースでは営業資格の剥奪や行政処分が科されることもあります。
その他の投資顧問業法規則
最後に取り上げるのはここまで紹介したどのジャンルにも該当しない投資顧問業法です。どのジャンルにも該当しない規則であるがゆえに「その他の投資顧問業法規則」というジャンル名でまとめてみました。
この「その他の投資顧問業法規則」において規定されている代表的な項目はこちら。
- 外国の法令に準拠した業者の特例
- 国内の事務所放置に関する届け出など
- 財務大臣への資料提出など
- 総理大臣の金融庁長官への権限移譲
- 委員会の命令に対する不服申し立て
ここで取り上げた項目の中で特に押さえておきたいのがこちらです。
(投資顧問法第52条の要約)
実は投資顧問会社の監視や罰則を与えた権限は内閣総理大臣が保有しておりますが、内閣がこの権限を使うことはほとんどありません。
それでは誰がこの権限を使うかというと、内閣総理大臣から権限の委任を受けた金融庁長官が委任先として選んだ財務局の局長。
この投資顧問業者の認可資格を財務局が有していることは、あまり知られていませんが、この機会に押さえておくとよいでしょう。
投資顧問業法の最重要項目とは?
ここまで複雑で分かりにくい投資顧問業法を7つの分野に分けた上で各分野のポイントをご紹介しました。
正直な所、これまで様々な投資顧問業法関連の情報を一気に伝えたので、特に重要な項目がどれなのかについてはいまひとつ掴めていないかもしれません。
そこでこのページの最後に投資顧問業法で定められた諸ルールの中で特に押さえておきたい4つの項目を改めてご紹介します。
(投資顧問業法第4条の要約)
広告等において事実に相違する表示をしてはいけない
(投資顧問業法第13条の要約)
契約締結時の書類を受け取って10日以内に限り、書面での契約解除が可能
(投資顧問業法第17条の要約)
利益を約束したり、顧客の損失を補填してはいけない
(投資顧問業法第22条の要約)
ここで一覧にした投資顧問業法のポイントをまとめるとこのようになります。
①:投資顧問業登録をせずに投資顧問行為をする会社は全て違法。
②:利用者が錯誤する表現を広告等で使用することや利益の約束をしたり、損失時の補てんを提案することは投資顧問業法に抵触している。
③:契約後であっても10日以内ならば契約解除ができる。
ちなみにここで厳選した法令は、投資顧問業法の中でまず最初に押さえておきたい最重要項目です。
そこでもしあなたが投資顧問業者を利用したり、投資顧問業を開業される予定があるのでしたら、今回取り上げた投資顧問業法における最重要項目をまずはじめに押さえることをおすすめします。
最後に、この投資顧問業法の特集ページに目を通された方の多くが目を通している他のページをご紹介しますので、よろしければ足を運んでみてください。