「株式投資は実は低リスク」
何かのきっかけで株式投資に興味を持ってもリスクが気になって、本格的に始める事に躊躇してしまう人は少なくありません。
しかし、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という言葉は株式投資の世界でも成り立つので、利益を出したいのでしたら相応のリスクを背負うことは必須。
ただし、この「相応のリスクを背負う必要がある」と言われても、どういったリスクをどの程度背負うことになるのか分からないと怖くて背負えないと思います。
そこでこのページでは株式投資に着手する際に背負うことになるリスクの種類と各リスクの大きさをご紹介します。
本文の内容に目を通しますと株式投資に着手する際に許容が求められるリスクの種類や大きさ、そして効果的なリスクヘッジ手法が分かります。
このページの目次
株式投資の3大リスク
株式投資に取り組む際に許容することが求められる代表的なリスクは実は3種類しかありません。ちなみにその3種類のリスクの内訳はこちらの通りです。
- 株価の価格変動
- 企業の倒産リスク
- 流動性のリスク
ここで取り上げた3種類のリスクの中身については1から3の順番でご紹介します。
①株価の変動の可能性
まず一番初めにご紹介するリスクは、株式投資のリスクの中で最もイメージがしやすい価格変動リスク。
この価格変動リスクというのは、購入した株式の価値(株価)が変動する可能性のことを指します。つまり、購入した株式の価値が下がって損失が出るリスクの事を意味します。
「損失リスク」と聞くとネガティブなものに感じられるかもしれませんが、株式投資における価格変動リスクはポジティブな意味合いを持つ変動要因でもあります。
現に1株100円の株が5%下がって95円になればネガティブな意味合いを持ちますが、5%上昇して105円になればポジティブな結果になります。
ちなみにこの価格変動リスクの大きさはどの銘柄で株式投資に取り組むかで若干変動しますが、全銘柄の変動率の平均値を出すとだいたい6%。
つまり、株式投資に取り組んで企業株を買えばプラスの面でもマイナスの面でも6%の変動性を許容することが必須になります。
②会社の倒産の可能性
2つ目の株式投資のリスクは企業の倒産リスク。
これは何を意味するかというと、株を発行した企業自体が潰れる確率です。実は企業の寿命は長くとも30年と言われている以上、創業から30年が経てば大多数の企業は潰れます。
企業が潰れると発行された株式はどうなるかというと、事実上の無価値になります。この点を考えると株式投資に取り組むのでしたら、株式投資に回した資金は全て無くなるリスクをあらかじめ受容することが必須。
ちなみにこの倒産リスクが発生する確率は企業のライフサイクル論をベースにすると30年ですが、財務内容が盤石ではない企業の場合は30年よりも短くなります。
この点を考えると株式投資に取り組むのでしたら投資先企業の倒産リスクを念頭に置き、常に最適な売却タイミングを考え続ける姿勢が非常に重要になります。
③流動性の問題
株式投資に取り組む際の3つ目のリスクは株式という金融商品の流動性のリスク。
そもそも流動性のリスクとは何かというと、現金化が出来なくなるリスクの事です。要するに投資した株式を現金に交換することができなくなる可能性の事を指しております。
なぜなら、株式投資にはストップ安やストップ高といったものがあり、現金化が強制的にストップされることがあるからです。
それにこの2つに該当しないときでも株式相場は平日の9時~11時半及び12時半~15時までしか開いていない以上、その時間外では取引できません。
この点を考えると株式投資は現金化には難がある投資商品なので、流動性リスクは非常に高いです。
逆にリターンはどの程度なのか?
先ほど株式投資には損失リスク・倒産リスク・流動性リスクという代表的な3種類のリスクがあるとお話いたしました。
これらのリスクは決して小さくはありませんが、これらのリスクを背負うに値するかどうかは株式投資の期待リターンとの兼ね合い次第。要するにリスクを許容すべきか避けるべきかは、リスクの大きさ単体では決まらないのです。
そこでここでは株式投資のリスク周りの話を一旦抜きにし、株式投資ではどんなリターン(利益)が得られるのかについてまとめてみました。
- 売買益
- 配当金
- 株主優待
- 間接的なリターン
ここで取り上げた4種類の株式投資のリターンの詳細と各リターンの大きさについては上から順番に見ていきます。
銘柄の売買益の期待利回り
まず1つ目にご紹介する株式投資のメリットは売買益によって発生するリターン。こちらは基本的には損失リスクと同じ水準になるので、先ほど紹介した価格変動リスクと同じ水準の6%。
つまり、200万円を株式投資に回せば、その200万円の6%に当たる12万円が年単位で発生することが見込まれます。この6%という株式投資の利益率が高いか、低いかには議論の余地がありますが、管理人の感覚では悪くはないと思います。
なぜなら、日本人に人気がある投資信託の期待利益率は3%、10年国債に至っては0.3%だからです。つまり他の主要な投資商品と比べると株式投資は割が良い投資商品なのです。
配当金の見込み利率
2つ目に紹介する株式投資周りのリターンは、配当金経由で発生する利益。
この配当金というのは、会社が計上した利益の一部を株主に還元するために用意された資金の事を指します。この配当金の還元額は各企業の発行株式で大きく異なりますが、管理人の経験上、1株あたり15円程度の配当を年単位で還元する会社が多いです。
つまり配当によって発生する利益の額は、保有株数×15円という計算で求められます。例えば100株を保有していれば年間で1,500円、1,000株を保有すれば1万5千円。
ちなみにこの配当は企業が利益を出せば基本的に配布される上に売買益と違い、損失が発生することがないというメリットがあります。
株主優待
3つ目の株式投資に取り組んで得られるリターンは株主優待です。
この株主優待というのは企業が株を保有する投資家に対して定期的に還元するサービスです。例えばガスト等を営む「すかいらーく」という会社の場合、レストランで使える商品券を配布します。
これは先ほど紹介した配当金とは違い、金銭的なリターンではありませんが、実物または実物に準ずるサービスを受けられるので、リターンの1つとして含んでしまって問題がありません。
現に最近では主婦を中心に株主優待というリターンを目当てに株式投資に取り組む個人投資家は増えております。
間接的なリターン
最後に取り上げる4つ目の株式投資のリターンは金銭でも実物でもない、間接的なリターンです。
この間接的なリターンにはどんなものがあるかというと、株式投資を勉強する中で決算書を読めるようになる、ニュースに詳しくなる、経済の話が強くなる、新しい友人ができる、といったことが挙げられます。
実は株式投資はパチンコなどと違い、頭を使いますし、会計などの勉強にも取り組むことになるので、色々な知識が身につきます。その結果としてあなたを見る周囲の目が変わり、会社で昇進する可能性もあります。
この自己成長はあくまで間接的なメリットですが、株式投資に着手する際に無視できないリターンの1つなので押さえておきたいですね。
投資家の為のリスクヘッジ術
ここまで見てきましたように株式投資にはリスクがありますが、株式投資に取り組みますと数多くのリターンを得ることが出来ます。
この「リスクを許容すれば数々のリターンを狙える」というのは、まさにこのページの最初にご紹介した「虎穴(リスク)に入らずんば、虎子(リターン)を得ず」という理論の通りです。
しかしここで注目をしておきたいのは、「虎穴(リスク)に入らずんば、虎子(リターン)を得ず」という理論におけるリスクとの向き合い方。
実はこの理論は、「何かを得るにはリスクの許容が必須」であることを意味しておりますが、リスクを冒すタイミングやリスクの大きさのコントロールが出来ないことを意味しているわけではありません。
実はこれは株式投資にも言える事であり、リスクをゼロにするのは不可能とはいえ、上手にリスクヘッジしながら株式投資に取り組めばリスクを限りなく小さく出来ます。
この株式投資のリスクを最小化するのに役立つ主なリスクヘッジ施策としてはこういったものがあります。
- 損切り指定を常に行う
- 投資先を複数にする
- 当面の必要資金は使わない
ここで取り上げた3種類の株式投資関連のリスクヘッジ施策の中身についてはこれからご紹介します。
損切り指定を常に行う
1つ目にご紹介する「損切り指定を常に行う」というリスクヘッジ施策は、銘柄を買った瞬間に撤退ライン(売却価格)を決め、その価格に指値を入れる事を指します。
このリスクヘッジ施策を行えば、購入した株式が損切りラインに到達した時点で自動的に売却されます。その結果、仮に金融危機や世界大戦のような相場が混乱する状況が生まれても発生する損失額は微々たる水準に収まります。
まさにこの「損切りラインの明確化」は株式投資のリスクヘッジ施策として最高の施策になるので、株式投資のリスクが怖いのでしたら株式の購入直後に売却価格を指定したいですね。
逆に言えば、この「損切り指定」さえ実施すれば株式投資のリスクマネジメントは半分は達成したようなものです。まさに損切り指定というのは株式投資におけるリスクヘッジ施策の要なのです。
複数の企業株に投資する
次にご紹介するリスクヘッジ施策は投資先を複数の企業株にするという、投資テクニック。こちらは一般的には分散投資と言われ、株式投資のプロならほぼ必ずリスクヘッジの1つに採用しています。
そもそもの話になりますが、どうして投資先を複数にするのがよいかというと、投資の結果がどこかの企業の株の株価の変動具合と一連托生の関係にならずに済むからです。
つまりその結果として、複数の企業株で資金を運用するケースというのは、単一銘柄で運用するケースよりもリスクが下がります。
そこでもしあなたが株式投資のリスクを下げたいのでしたら、特定の株式の株価の変動に投資結果が左右される要素が小さく収まる分散投資を心がけたいですね。
必要資金を証券口座に回さない
3つ目にご紹介する株式投資のリスクヘッジ施策は証券口座に直近の生活に必要な資金を回さないことです。これをルール化し、当面の必要資金を証券口座に回さなければ株式投資の最大損失リスクは自ずと小さくなります。
なぜなら貯金の中でも当面使う予定のない余剰資金の中で株式投資に取り組んでいれば、仮に投資額を全て失っても生活が破綻しません。要するに致命的な敗北には至らないのです。
このように「全て失っても死なない」という規模間で株式投資と関わるのは、株式投資において非常に有効なリスクマネジメント施策になります。
この点を考えると、株式投資のリスクが気になるのでしたら「直近の生活に必要な資金を回さない」ということは絶対に心がけたいですね。
他に投資で気を配る事とは?
ここまで取り上げた「損切りを心がける」、「投資先を分ける」、「生活資金は株に回さない」という3種類のリスクコントロール術を心がければ、株式投資のリスクが段違いに低くなります。
ただし、この3つのリスクコントロール術を実施しただけでは株式投資のリスクマネジメントはまだまだ不十分。その理由はとてもシンプルで、このページでは株式投資の代表的な失敗パターンについては取り上げていないからです。
当然かもしれませんが、代表的な失敗ケースを知らないと知らずにリスクを冒してしまうことが考えられます。この点を考えると、リスクが怖いのでしたら典型的な失敗ケースをきちんと押さえておくことが欠かせません。
この典型的な失敗ケースについては以下のページでまとめているので、ご興味上がればどうぞ。
まずは少額取引を始める
これまでの内容の総括になりますが、株式投資には興味がありながらも、リスクが気になるのでしたら、安全第一の姿勢で株式投資に着手することをおすすめします。
この安全第一の姿勢の株式投資とは何かというと、先ほどリスクヘッジ策の欄で紹介した内容とかぶりますが、このようなスタンスで株式投資と関わることを意味します。
- 余剰資金から始める
- 必ず指値を指定する
- 分散投資を心がける
特に1番上の「余剰資金から始める」という点は株式投資のリスクを下げる際に非常に重要になります。
現に株式投資の世界には単元未満株(通称ミニ株)があり、これを使えば数千円から株式投資に取り組めます。このタイプの株式なら4種類の銘柄を買っても3万円程度に初期資金が収まってしまうのです。
流石に3万円を失って大惨事になることはないはずですし、銘柄購入後に指値を指定すれば損失額は元手の1割程度に収まります。これなら損失リスクもそこまで気にしなくて済みます。
つまり株式投資というのはリスクを最小限に関わろうと思えば、非常に小さなリスクの範囲内で着手出来てしまうのです。
この話を聞いて株式投資に取り組むことに興味を覚えましたら、株式投資の始め方や銘柄選びのコツについてまとめているこちらのページをどうぞ。