「8割の投資顧問は行政処分の予備軍」
過去に行政処分を受けた投資顧問って信用できませんよね。
なんていったって、行政処分というのは金融庁が課す罰則である以上、その罰則を受けた投資顧問会社には大なり・小なりの問題があります。
それでは、行政処分を受けたことがない投資顧問が全て安全かというとそんなことはありません。
なぜかと言いますと、日本には1000社を超える投資顧問があり、そのうちの約8割は将来何らかの行政処分を受けるリスクがあるからです。
この点をご理解頂くためにこのページでは投資顧問はどんな行為をした時に行政処分を受けることになるのかについてご紹介します。
最後まで目を通しますと、行政処分を受ける可能性がある投資顧問の営業行為や過去に行政処分を受けた投資顧問が処分後にどんな末路を迎えるのかが分かります。
このページの目次
投資顧問が行政処分を受ける理由
どんな投資顧問が行政処分を受けるのかについて考えるためにも行政処分の対象になる行為については正確に押さえる必要があります。
そこでここでは行政処分の対象になる投資顧問の代表的な行為を一覧にしてみました。
- 投資顧問業登録をしていない
- 事実上の詐欺行為を行うこと
- 誤解を招く情報を提供すること
- 違法な営業を行うこと
ここで取り上げた代表的な4種類の行政処分のパターンの詳細については上から順番に見ていきます。
投資顧問業登録をしていない
まず最初にご紹介する投資顧問が行政処分を受けるケースは、投資顧問会社が投資顧問業登録をしていないケースです。
実は現在の日本において投資顧問業は、事実上の資格業です。つまり、投資顧問業者としての営業資格のない会社が「投資顧問業」を営むのは認められないのです。
この点を考えると、投資顧問業者としての営業許可がない会社は、それだけで違法業者になってしまうのです。
「そんな違法会社ってあるの?」と思うかも知れませんが、実は全投資顧問の7割は金融庁から営業許可を受けておりません。
この7割の無資格業者は金融庁に通報が入り、金融庁側の調査によって未登録であることが発覚次第、行政処分が課されます。
事実上の詐欺行為をすること
投資顧問業登録をしていても、行政処分の対象になる投資顧問は少なくありません。
中でも際立つのは営業時や情報提供時に事実上の詐欺行為を行うことです。
この事実上の詐欺行為とは何かというと、「この銘柄は儲かる」とか、「必ず利益が出ます」といった利益の確約や「リスクはゼロ」といった損失リスクの否定があります。
実はインターネット上にある投資顧問各社の公式サイトや彼等が出稿しているネット広告にはこういった類の文面は良く見受けられます。
例えば管理人が過去に契約をしていた投資顧問の場合、「年利30%は確実」なんて表現がありました。「確実」という文面は利益の保証になる以上、これは明らかに詐欺行為になってしまいます。
こういった文面を公式サイトやネット上の広告に記載している投資顧問会社は、どんなに評判が良い投資顧問だとしても行政処分を受ける可能性があります。
風説の流布や虚偽の情報提供
投資顧問の中には狙った株式の価格を操作するために事実上のデマを意図的にネットなどに流すことがあります。
極端な例だと、推奨した企業株の単価を上げるためにその会社の株が上がるような情報をSNS等で大量に配信したりもします。
この情報操作は常識の範囲内でしたら特に大きな問題になりませんが、投資顧問の中には虚偽の情報を流す会社もあります。
例えば意図的にその会社の株価を下げるために根も葉もないマイナスの情報を流したり、「決算成績予測」といった題目で著しく低く見積もった決算成績の予測を公開したりします。
実はこのような行為は、法律で禁止されている風説の流布や株式相場の情報操作等に該当することがあります。
この場合、行為が発覚次第、行政処分の対象になってしまいます。
違法な営業を行うこと
4つ目にご紹介する投資顧問会社が行政処分を受けるパターンは、営業活動における違法行為の実施です。
よくある違法行為としては、営業時に「損したら、他の銘柄を紹介します」といった事実上の損失の補填の提案。
それに営業時に顧客に対して嘘の情報を紹介したり、消費者保護法で禁止されている消費者に誤解を与えるような説明をして、無理に契約に迫る行為の実施等があります。
こういった違法行為を頻繁に行う投資顧問会社は、利用者から訴訟を起こされるなどの理由で必ずその行為が表に出ます。
こうなると金融庁などの捜査が入り、違法性が見つかってしまい、営業停止をはじめとした行政処分が科されることになります。
罰則を受けた会社のその後
ここまで投資顧問が行政処分を受ける代表的な4つのパターンをご紹介しました。
そこで次にこれまでの内容を前提に、行政処分を受けた投資顧問は処分を受けた後にどんな末路を迎えるのかについて考え見ようと思います。
そのためにもここでは株式会社CELLとイーキャピタル投資顧問という全く異なる末路を迎えた投資顧問のケースをご用意しました。
この2社の投資顧問会社の行政処分後の動きに関しては株式会社CELL⇒イーキャピタル投資顧問という順番でそれぞれご紹介します。
株式会社CELL
最初にご紹介する株式会社CELLというのは、平成28年に行政処分を受けた投資顧問会社です。この投資顧問会社が行政処分を受けた理由は、詐欺行為を行ったと金融庁に認定されたからです。
具体的に行ったことは、虚偽の情報を顧客に流し、意図的に有料契約プランの契約を迫ったことです。この虚偽の情報の一例としてはこのようなものがあります。
- 「先着○○名様」という虚偽の限定
- 「必ず利益が出る」という表現を告知
- 虚偽の情報を多数メール等で配信
- 存在しない仕手株情報を有料販売
このような真実とは反する情報を大量に配信していたことが問題になり、1ヵ月の業務停止という行政処分を受けました。
行政処分後には顧客が減り、世間の目も厳しくなったこともあったようで会社名を「CELL」から「NEO」に変更。
しかし、「NEO」のサービスは、行政処分を受けた「CELL」を引き継いだものなので、実態は「CELL」時代と変わらないようです。
イーキャピタル
今回紹介する2社目の投資顧問はイーキャピタルという国内で人気の投資顧問です。
このイーキャピタルは平成18(2006年)に誇大広告を流したということで、行政処分を受けました。
どんな誇大広告が行政処分になったかというと、「当社しかできない」、「今だけ」といった根拠のない限定を頻繁に多用したことです。
こういった限定表現により、イーキャピタルは行政処分を受けましたが、処分が明けた後も会社名を変えずに粛々と営業をしております。
しかも行政処分を受けたにも関わらず、現在では日本の投資顧問業界の中で最も人気がある投資顧問の1つとなっております。
それに肝心な行政処分後の業務形態に関しても平成18年に一度行政処分を受けて以来、10年以上に渡り再度の行政処分を受けていない以上、過去の過ちをポジティブに転用した珍しい投資顧問と言えます。
そんな一度受けた行政処分をポジティブに転用させたイーキャピタルという投資顧問のより詳細な情報はこちらのページでまとめております。
処分を受けた会社は避ける
このページではここまで投資顧問が行政処分を受ける理由と、過去に行政処分を受けた投資顧問の名前とその後の変容具合について紹介してきました。
ここまでご紹介してきましたように行政処分を受けた投資顧問というのは、社内の法令順守体制が緩い傾向があります。
そこで管理人個人としてはできることなら行政処分を受けた投資顧問とはなるべく関わらないことをおすすめします。(*イーキャピタルは別)
それと同時に念頭に置いておきたいのが、このページの冒頭で紹介した「投資顧問の8割は行政処分予備軍」だということです。
この点を考えると、投資顧問を選定する際には過去に行政処分を受けたかどうかだけではなく、今後行政処分を受けるリスクが低い投資顧問であるかどうかのチェックも必要です。
ちなみに今後行政処分を受けるリスクの大きさを確認する際の鍵は、悪徳な投資顧問に見受けられる特徴の有無を押さえることです。
この点を知るだけで将来行政処分を受ける可能性のあるダメな投資顧問と関わるリスクが格段に下がります。
このダメな投資顧問はどんな特徴を持つ投資顧問なのかについてはこちらのページでまとめておりますので、よろしければどうぞ。